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執筆者の写真さびら 株式会社

【沖縄の公共交通は戦前以下⁉︎】那覇から与那原まで約30分、軽便与那原駅舎展示資料館|ゆるさびらフィールドワーク

皆さん、こんにちは。 株式会社さびらの稲福です。 みなさん、沖縄にはかつて鉄道が走っていたことを知っていますか?


那覇から嘉手納、糸満そして与那原の3方面に路線が敷かれ、「ケービン(※)」の愛称で親しまれました。しかし開業から約30年が経ったころ、沖縄戦により鉄道の線路施設はほぼ破壊され、その歴史に幕を下ろすことになってしまったのです。


そんな鉄道の歴史を知るため、ゆるさびら勉強会のメンバーで与那原町にある「軽便与那原駅舎展示資料館」へ行ってきました。


ケービンとは?


※正式には「沖縄県営鉄道」といい、本土で走る通常の汽車より線路の幅が小さかったので「軽便鉄道」と称されました。「軽便」は正式に「けいべん」と読みますが、沖縄では「けいびん」「ケービン」などと呼ばれていたそうです。


 

ゆるさびらについて

 

株式会社さびらの社員だけでなく、学生から社会人までが集まり、「ゆるくさびらと学ぶ」勉強会です。読書会や映画の鑑賞会、フィールドワークなど、沖縄をもっと知る・考えるための様々な活動を行っています。

 

いつでも立ち寄れる資料館


軽便与那原駅舎展示資料館

軽便与那原駅舎展示資料館は、与那原駅舎の跡地に建てられました。与那原駅舎は、1914年沖縄で一番最初に開通した路線「与那原線(那覇 - 与那原)」の終着駅です。


軽便鉄道が開通した当時の与那原駅舎は木造造りでしたが、1931年に県営鉄道の駅としては初めてのコンクリート造りとなり、その2代目与那原駅舎を2014年に復元したのが現在の資料館です。



受付で入場料を支払うと、当時の切符デザインを模したチケットが貰えます。

ちなみに、入館料は大人1名100円(小学生以下無料)。そして与那原町民は、無料です。今回参加したメンバーの中には、与那原町民はいませんでしたが、資料館には学校終わりに立ち寄る小学生もいたりして、気軽に立ち寄れる雰囲気がとても居心地良かったです。


 

沖縄の交通事情は、戦前よりも深刻⁈


今回は特別に、学芸員の喜納さんに資料館を案内していただきました。


参加したメンバーの出身地は、那覇市や宜野湾市、沖縄市など様々。当時の路線図と喜納さんの解説を聞きながら、「今だとバスで何時間かかって、何円で...」「夕方は渋滞するから、車より軽便鉄道の方が早く移動できる!」など会話をしながら「昔の方が便利じゃん!」と盛り上がっていました。


2003年からは沖縄都市モノレール「ゆいレール」が那覇市内で開通し、2019年には浦添市「てだこ浦西駅」まで延伸しています。しかし、限られた地域でしか利用されず、交通渋滞はとても今も大きな問題です。


当時の軽便鉄道は「那覇 - 与那原線」に次いで「那覇 - 糸満線」、「那覇 - 嘉手納線」も開通し、営業距離は47.8キロもあったそうです。渋滞にも巻き込まれることなく、遠くまで移動ができた軽便鉄道は、現代の移動手段よりも便利だったのかもしれません。


ちなみに、当時は那覇駅(現:旭橋駅)から25分〜30分で与那原駅まで辿り着くことができたそうです。


資料館見学の様子


 

資料館の裏には、戦前から残る柱の一部が


駅舎の裏に回ると、当時使われていた柱の一部が残っていました。他の駅舎と違い、与那原駅は鉄筋コンクリート造りだったこともあり、沖縄戦後もわずかながら形を残したそうです。残った骨組みや壁は補修を重ね、町役場や農協として姿を変えながら存在し続けました。

2000年代以降もJA与那原として使われていましたが、2013年同店の移転が決まり、残された土地には今の与那原駅舎が復元され、建物の中は資料館として生まれ変わりました。


道を挟んで反対側の敷地からは、線路も見つかったそうです。


与那原駅舎跡

 沖縄戦では人の命はもちろん、さまざまな建造物も失うことになりました。与那原駅舎のように、今もなお残っている遺構は、戦前の景色をイメージさせてくれる大事な存在だと感じました。そして、その大切さ・魅力を伝えるためにも、さまざまな資料が見れて、体験もできる施設の必要性をますます感じました。


軽便鉄道線路跡

 

「もしも、沖縄に鉄道が残っていたら」


個人的に一番印象的だったのは、「妄想県鉄アナウンス」です。「もし県鉄が現存していたら車内アナウンスはこうなる?」という学芸員喜納さんの妄想を、ゆいレールの運転士が実際にアナウンスするという企画です。


当日は、録音された声を聞かせていただきました。


妄想鉄道アナウンス

 

アナウンスを聞くと、これはただの妄想ではなく、全国各地で見聞きした喜納さんの知見から作られていることに驚きました。沖縄出身メンバーは、くすくす笑いながらも、実際にこんな鉄道あったらいいなと、気づけば聞いてる側の妄想も膨らんでいました。


ちなみに、このような手法は「スペキュラティブデザイン」とも言われるそうです。スペキュラティブデザインとは、思考するきっかけを与え、「問い」を生み出し、いま私たちが生きている世界に別の可能性を示すデザインのことです。


妄想県鉄アナウンスは、昨年12月に開催された「沖縄県鉄開通記念イベント」のために作られたものだそうです。色々なアナウンスがあったので、ぜひもう一度聞いてみたいです。


 

夢中になりすぎて・・2時間以上、見学していた!?


集合写真

今回のゆるさびら勉強会は、与那原駅舎を訪問してきました。気づけば2時間半近く経っていて驚きました。


県内にある他の資料館と比べると、広さはとてもコンパクトですが、ARを使ったバーチャル体験やグッズの販売などもあり、楽しめるポイントがたくさんあります。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。


今月はこのようなイベントもあるそうです!


与那原ウォーク


与那原線の跡(廃線跡)約10kmをウォーキングしながら学芸員が解説。

【開催日時】 3月16日(土)9:00〜(所要時間4〜5時間程度)

【集合場所】 那覇駅跡(ゆいレール旭橋駅東側 転車台前)

【解散場所】 与那原駅舎展示資料館 

【定 員】 20名

【参加料】 500円(資料代、保険代)


 

与那原町立軽便与那原駅舎展示資料館


所在地: 〒901-1303 沖縄県島尻郡与那原町与那原3148−1

入館料:100円(町内及び小学生以下無料)

開館時間:10:00~18:00

休館日:火曜日・年末年始(12/29~1/3)

駐車場:4台

その他:多目的トイレ有り

住 所:〒901-1303 沖縄県島尻郡与那原町字与那原3148-1

電 話:098-835-8888

公式ホームページ:https://www.yonabaruekisha.com/


 

株式会社さびらでは、様々なテーマに合わせたワークショップやフィールドワークの企画立案から運営まで行っております。お気軽にお問い合わせください。


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