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なはーとダイアローグ2024-25 第3回「未来のアーティストはどんなまちに住みたいのか?」開催レポート

執筆者の写真: さびら 株式会社さびら 株式会社

弊社が那覇文化芸術劇場なはーとと共に企画制作で携わっている「なはーとダイアローグ」。昨年11月21日に今季の第3回目を開催いたしました。その様子をお届けします。


【開催概要】

日 時:2024年11月24日(日)14-16時

登壇者:羽藤英二(東京大学大学院工学系研究科教授)、

    泉川のはな(画家)、北上奈生子(写真家)

コメント:知念覚(那覇市長)

司 会:石垣綾音(株式会社さびら)、林立騎(那覇文化芸術劇場なはーと)

会 場:那覇文化芸術劇場なはーと 1階 小スタジオ

参加者:33名

 

 那覇文化芸術劇場なはーとでは、これからの那覇の文化芸術をどう育んでいくのかについて、「なはーとダイアローグ」事業を通じて、市民参加の議論を続けています。


 毎年「なはーとダイアローグ」では、文化芸術をテーマに市長と市民が対話する機会をもうけてきました。今年は、都市計画の専門家と那覇の若手アーティストをまじえて、「未来のアーティストが集うまち」について考えます。


 私たちの生活と文化芸術のつながりをあらためて確認しながら、豊かな那覇市の将来像を話し合っていきました。


 

登壇者による発表① 東京大学大学院工学系研究科教授 羽藤英二さん


イベントは、羽藤さんの基調講演から。

羽藤さんの専門は都市工学、社会基盤計画。沖縄県内では沖縄市の胡屋・中央地区バスターミナルプロジェクトや名護市の総合交通ターミナル整備計画に関わり、都市計画にアートの要素を取り入れることを提案しています。

地域文化の編集装置「アーバンアパラタス」を作ってみてはどうかというのが、羽藤さんから那覇市への提案でした。アパラタスとは、肺のような、呼吸する器官のこと。都市において「深呼吸できる」ような場所や機能、可能性を持つ場所、といった感じでしょうか。


例えば「なはーと」の場合、以前は久茂地小学校であったことを思い出しながら、すぐに建物を建てたり、計画を作ったりするのではなく、そこから何をやるかアーティスト・市長・街の人たちで話し合いながら考えられないか。そのための余白を街に作っていくということが大事ではないかという提案でした。


登壇者による発表②

画家 泉川のはな さん

那覇市首里生まれ。2016年東北芸術工科大学大学院修了。絵画作品を中心に制作活動を行う。南国調の植物や風景などをモチーフに、制作を通じ沖縄の持つイメージについて考察する。現在、沖縄タイムス「ワラビー」にて「鳥さん見聞録」を連載中。

泉川さんは、共同アトリエで制作活動を行っていた経験について語りました。アトリエでは、厳密なルールが整備されておらず、トラブルがなかったわけでは無いが、同じ絵描きや様々なジャンルの表現者と交流でき、とても刺激的だったそうです。


アトリエには、家でも学校でも職場でもない、余白のような場所があったからこそ、今でも制作が続けられていると感じているそうです。


登壇者による発表③ 写真家 北上奈生子 さん

沖縄生まれ。真和志高校へ入学し写真を始める。2006年に写真甲子園に出場し優勝。卒業後、東松照明デジタルワークショップに参加。2017年 第1回SHINESで入選。写真集「6チャンネル」を出版。同年、那覇市牧志に自主ギャラリーFoto Space Reagoオープン、写真家たちによる共同運営。母校である真和志高校で非常勤講師として写真を教えている。

北上さんは、タイトルにもある「アーティストはどんなまちに住みたいのか?」という問いに対して、沖縄本土復帰40年写真展「okinawa 0 point」という写真展に参加した時のエピソードを紹介。


平和通りの空き店舗を借りた展示会場には、展示を見に来たお客さんだけではなく、むつみ橋通りにショートカットできる通路として利用する方もいたそうです。配達の人は1日に何往復もするため、顔馴染みになることもあったそうです。


ふらっと入って、ふらっと出て行ける場所。ギャラリーや美術館は敷居の高いイメージがあるので、このような扉が開いたギャラリーが増えたらいいなと思っているそうです。


 

質疑応答

後半の質疑応答の時間では、「市長が思う、アーティストの役割とはなんですか?」という質問が出てきました。


それに対して市長は、「いろんなジャンルがあると思うが、基本的に言えば文化を受け継いで新しいものを作り出す」「この街の空気感とかにおいとか、沖縄らしさを構築していくためには必要不可欠な人材である」と答えました。



またアーティストのお二人には「アーティストの方にとって、どんな地域の方に会ってみたいですか?」という質問が飛んで来ました。


泉川さんは、「アーティストの取り組みに関心のある人に会うことはできるけど、一定数冷ややかな目で見る人もいる。地域のことをたくさん教えてくれる人も大事ですが、私のことをアーティストとして受け入れてくれた人だけではなく、否定的な意見を持っている人にも会ってみたい」と回答。


北上さんは、高校生の頃参加した写真甲子園の舞台となった北海道の街でのエピソードを紹介。その地域で10年以上続いている写真甲子園の最終発表会には、地域の人たちも参加しており、彼らは作品を見て評価することへの抵抗感が全くなく、作品(写真)を読む文化が浸透していることを実感したそうです。


その経験からも、「場所を作るというよりも、写真を見る人たちがどうみたらいいのかを学べる環境を作ることも重要だと思う。自身の作品に対して、写真をやっていない人たちがどう思うのかを聞いてみたい、そんな場所が沖縄にもあるといいな」と語りました。



 

【次回予告】今年度4回目のなはーとダイアローグは、2025年2月7日!おでかけなはーとダイアローグ、初開催!


次回のなはーとダイアローグは、来年2月2日金曜日の実施が決定。

初の「おでかけダイアローグ」として、真和志高校さんにお邪魔します。


授業の一環としての開催ですが、一般の参加も若干数可能となっております。

詳細が決定しましたら、なはーと公式HP、なはーとダイアローグ公式インスタグラムよりお知らせいたします。どうぞお楽しみに!



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