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  • 執筆者の写真さびら 株式会社

「みんな」のための劇場とは?|第2回なはーとダイアローグ

更新日:2023年10月11日

みなさん、こんにちは。株式会社さびらの稲福です。

この記事では、9月18日(月・祝)に開催した、第2回なはーとダイアローグの様子をお届けします!

今回のイベントは、聴覚に障害のある方々をゲストに招き、「みんな」のための劇場とは?というテーマでお話をしました。イベントの内容としても、運営側としても多くの気づきや学びがあったので、ここにその気づきや学びを残しておきたいと思います。


イベント運営、展示や舞台制作などをされる方にも知っていてほしい内容になっています!

 

第2回なはーとダイアローグ イベント概要

日時:2023年9月18日(月・祝)14:00 - 16:00

場所:なはーと小スタジオ

ゲスト

城間枝利子(一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 会長)

比嘉豪(一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 副会長)

牧志正人(一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 事務局長)

参加人数:25名






那覇文化芸術劇場なはーとでは、市民との対話を重ねながら、那覇の文化芸術をどう育んでいくかを考える「なはーとダイアローグ」を続けています。


現在なはーとでは、より多くの方々が足を運べるように、車椅子ユーザーへのサポート、受付での筆談対応などに取り組んでいますが、視覚・聴覚障がい者向けのプログラムはまだ十分に用意されていないのが現状でした。


そこで今回は、沖縄県聴覚障害者協会の方々をゲストにお招きし、主にろう者の立場から、より多くの方々が文化施設へとアクセスできる、活用できるために何が必要かを考えていきました。

 

登壇者との施設見学|同じ劇場で、一緒に楽しむには?


イベントが始まる2時間前。なはーと職員・平岡さんの案内で、登壇者の城間さん、牧志さんと施設見学を行いました。


まずは、大劇場。

最上階の3階席へ上がってみると、想像以上にステージまでの距離が遠く感じました。琉球聾太鼓という太鼓グループで活動する牧志さんは「遠くからでもステージが見えるように、モニターをつけて欲しい。」とのコメント。「健常者は、距離が遠くて見えづらくても、音で楽しむ。しかし、音のない世界に生きる私たちには見えないし、聞こえない。」


続いて、大スタジオを見学した際には、「火事などの緊急事態が起きた時、ろう者は施設内のアナウンだけでは気づけない。」また、「施設スタッフ(管理室)とのやりとりが、インターホンしかないと、私たちはやり取りできない。」など、様々なご指摘をいただきました。

 

施設を回るなかで、まず足を運んでもらうために必要なことは、どんな企画をするのか中身の部分だけではなく、施設の安心・安全が大事だと感じました。

 

基調講演|ろう文化の豊かさ


イベントは、沖縄県聴覚障害者協会副会長の比嘉さんの基調講演から始まりました。

ろう者ならではの落語やパントマイムなど、「ろう文化」という独自の文化が育まれていることをご紹介いただきました。


沖縄県聴覚障害者協会副会長の比嘉さん

ろう者による写真展の話題では、列車を撮影する時に、車輪をクローズアップすることがとても印象的でした。聴者は、迫りくる列車をフレームに収めることが多いが、あるろう者の作品は車輪の回る様子に着目していたこと。そこから列車の動きを感じ取っていて、ろう者ならではの感性が現れている等、新鮮な視点を知ることができました。

 

投げかけた質問|私たちの当たり前で困る人たちがいる


質疑応答の時間は、「なはーとの良い点、改善点はなんですか?」という質問から始まりました。


:城間枝利子(一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 会長)さん

大劇場の席がズレて設置されており、前に座る人の頭が被らずステージを見ることができることなど、良かった点もいくつか出てきましたが、改善点もたくさん上がりました。


特に私が印象的だったのは、開演前のブザー音についてです。

多くの劇場では、開演直前になるとブザー音でお知らせをしてくれます。しかし、ろう者の皆さんは、合図に気づくことができず、そのままお喋りを続けてしまうこともあるそうです。


また、今回のイベント告知に使用したフライヤーについても、ご意見をいただきました。

「フライヤーに情報量が多すぎる」「電話番号だけで、FAX番号がない」「手話通訳がわかるマークがなかった」など、フライヤーの情報も、聴者を前提とした物となっていることに気づきました。ここでいただいたご意見は、今後の告知に活かしていきたいです。

 

会場からの質問|手話は言語、種類もある


登壇者の皆さんへ、会場から出た質問をいくつか紹介します。


牧志正人(一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 事務局長)

Q1.「YouTuberで好きな人、よく再生する人はいますか?」


比嘉さんは「沖縄県知事の定例記者会見をみます。」とコメント。

沖縄県知事の会見には、手話通訳者さんがついています。しかし、テレビのニュースでは、知事のみが切り取られ、手話が見えないことが多いそうです。


会場に手話通訳をつけるだけではなく、多くの人に情報を伝えるためには、伝える先に手話通訳を必要としている人がいることを想像するのが大切だと感じました。


Q.2「文字情報と手話の関係は?(違いは?)」


ろう者の中でも、生まれながらに音が聞こえない人、途中から聞こえなくなった人など様々です。そのため、手話の方が伝わる人、文字情報の方が頭に入りやすい人がいるそうです。

そもそも、手話は言語。手話の中にも、「日本語対応手話」と「日本手話」があるようです。


「日本語対応手話」は、日本語の文法に対応しているのに対し、 「日本手話」は日本語の文法とは全く違う文法であり、その本来の意味をとらえて表現しています。一般的には、中途失聴の方が日本語対応手話を使用し、生まれつき聞こえない方が日本手話を使用しているそうです。


なので、施設側が手話通訳をつける、字幕をつける際には、きちんと来てくれる方々への配慮が必要だと感じました。

 

イベントから学んだこと|文化芸術を楽しむ前に、大事なこと


手話通訳者の方

このテーマで企画を進めていく中で、気づかされたこと、というよりも、自分が気づいていないことにハッとする経験がたくさんありました。


この企画の出発点は、「聴覚障害者の方々に、文化施設へ足を運んでもらい、文化芸術を一緒に楽しみたい」というところでした。企画段階のミーティングでは、「ろう者も聴者も楽しめるようなイベントとは?」「絵や写真の展示がいいかな?演劇がいいかな?」など、総じて中身について考えることが多くありました。


しかし、実際に施設見学を行った際にいただいた意見は、もっと根源にある、「命のバリアフリー」に関するものばかりでした。「火事が起きた時に、音以外にどうお知らせしてくれるのか」「エレベータが止まった時、どう外部と連絡をとるのか」といったことです。

とても大事なことを考えていなかったことに、気づかされました。

 

最後に


手話で拍手をしている観客

今回のイベントを経験して、一番の反省点は「早いうちから準備をする」ことでした。

例えば、イベント周知については、誰に来て欲しいかで届け方が変わってきます。今回の告知に使用したフライヤーについても色々ご指摘あったように、きちんと来て欲しい人たちへの事前のヒアリングを行うことが十分に出来ていませんでした。

しかし、学ぶこともありました。


ろう者の皆さんは、会話の中で言葉を発することはありませんが、話している時の目線の置き方や表情はとても豊かで、感情がダイレクトに伝わってきます。最後まで相手の話を聞き、自分のターンになってから話し始めるなど、話し相手への気遣いも自然に行われており、司会進行をする上でも大切なことを多く学びました。


第2回なはーとダイアローグでの新たな気づきを、今後のシリーズにも生かしていきたいと思います。第3回も手話通訳者をつけていますので、ぜひお誘い合わせの上ご参加いただければ幸いです。



 

次回予告


なはーとダイアローグ2023-24 第3回

「那覇市長×東大教授×アーティストの対話

   ー権利としての文化、産業としての文化ー」


 毎年、「なはーとダイアローグ」では、文化芸術をテーマに市長と市民が対話する機会をもうけてきました。今年は、文化政策の専門家と那覇の若手アーティストをまじえて、市民や表現者の「文化の権利」と、持続可能な「文化の産業化」について考えます。


 私たちの生活と文化芸術のつながりをあらためて確認しながら、豊かな那覇市の将来像を話し合うために、市民のみなさまのご参加をお待ちしています。

日時:2023年11月19日(日)14:00 - 16:00

場所:那覇文化芸術劇場なはーと 3階 大スタジオ


登壇者 :小林真理(東京大学大学院文化資源学専攻教授)      上原沙也加(写真家)、福地リコ(映画制作者、ライター)

コメント:知念覚(那覇市長)


参加費:無料

定 員:100名(予定)

申 込:なはーとHPよりグーグルフォームでの申込み

主 催:那覇市

企画制作:那覇文化芸術劇場なはーと、株式会社さびら



 


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