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執筆者の写真さびら 株式会社

第2回なはーとダイアローグ「あつまれ!みんなの遊び場-体験を共有する未来の劇場-」開催レポート

みなさん、こんにちは!株式会社さびらの野添です。

弊社が那覇文化芸術劇場なはーとと共に企画制作で携わっている「なはーとダイアローグ」。去った9月23日に今季の第2回を開催いたしました。その様子をお届けします。



【開催概要】

日 時 :2024年9月23日(月・祝)14〜17 時

ゲスト :福里実(沖縄県立沖縄盲学校 教諭)、李栄淑(ゆんたく鑑賞コーチ)、平敷傑(作品提供)

司 会 :野添侑麻(株式会社さびら),池根愛美(那覇文化芸術劇場なはーと)

会 場 :那覇文化芸術劇場なはーと 3階 大スタジオ

参加者:30名


 

なはーとダイアローグとは、那覇文化芸術劇場なはーとを舞台に、地域、表現者・アーティスト、そして市民が交流し学び合う「場」を目指すための対話を行うシンポジウムです。


今回のイベントは、沖縄盲学校の福里実先生に企画段階から入っていただき、半年以上をかけて複数回の打ち合わせを重ねて、イベントを作り上げました。


ゲストの福里先生が1番実現したかったこととは、「何かしらの障がいを持っている人たちの”お話”を聞くだけではなく、お互いの違いを知り合えて、一緒に何か形にする場」をつくること。


障がいを持っている方も、そうでない方も、同じ空間で「何か」を一緒に体験することで、それぞれの視点に立つ場が持てるのではないか。そうした体験を行うことで、今なはーとに足りないことも見えてくるのではないか。そういうところも含めて話せる場にしよう!ということに。


そのため、通常なはーとダイアローグが行っている、トークイベント形式ではなく、グループで行うワークショップ形式で行うことに決定しました。



 

1.感覚を研ぎすませ!アトラクション体験ツアー


この日は、視覚障がいをお持ちの方、聴覚障がいをお持ちの方など、障がいを持っていない方。総勢30名の参加者にお集まりいただきました。6人程度のグループになって、それぞれのワークを進めます。


集まった参加者の共通する感覚は、「触覚」です。

触覚を使って、障がいの有無に関係なく全員が楽しめる場を作り、その後経験したことを踏まえて感想を交換しあうことをゴールとし、そのために必要なワークを2つ用意しました。


最初のワークは題して「感覚を研ぎ澄ませ!アトラクション体験ツアー」。

会場の一部を仕掛けのあるコースにし、参加者全員アイマスクをつけて歩き、視覚以外の感覚を頼りに5つの仕掛けを攻略していくワークです。


このワークは、福里先生との打ち合わせ時にお話しいただいた「私たち視覚障がい者は、例えば足音で誰かを判別したり、壁に当たる風の跳ね返りをもとにこの先に曲がり角があるかどうかを判断している」というエピソードが元になっています。


参加者全員が共有して持つ「触覚」をもとに、さまざまな経験をします。見えない中で、同じ経験を共有しますが、その経験が各自どのように違って感じられたかを最後に共有する時間を持ちました。


アトラクションの仕掛けは、以下の5つ。

①吊り下げエリア(たわし、スカッチ、冷えピタ)


②足の裏エリア(人工芝、プチプチ、赤ちゃん用プレイマット)


③組み合わせ作るエリア(おちょこ&とっくり、パーランクー&バチ、おわん&ふた)


④箱の中身はなんだろなのエリア(3つの箱のなかに、それぞれボール、ローレル(香草)、石敢當が入っており、手のひらの感触や匂いを嗅いで、それぞれ何か当てる)



⑤風の尻尾を捕まえるのだエリア(扇風機にリボンがついているので、そのリボンを捕まえる)


手のひらの感触だけではなく、顔、足の裏などあらゆる触覚を活かしながら、仕掛けを攻略していきます。

一列になって進んでいく必要があるのですが、ここでも各グループで「手を繋いでいく派」か「シャツの裾を掴むか」といった形で、「進み方」を各々で決めてもらいました。

視覚障がいを持っている参加者から「私たちは、介助者の肩に手を置く場合が多いよ」というコメントも頂き、障がいを持っている方の日常はどのようなものかを知る時間もありました。

 

2.ゆんたくアート鑑賞


前半のワークで、みんなの感覚をそろえたあとは、今日のメインとなる「ゆんたくアート鑑賞」に入りました。ここからは、司会進行をゲストの李栄淑(リ ヨンスク)さんにバトンタッチ。


李さんは、対話型アート鑑賞「アートマインドコーチング」のコーチとして沖縄県内で活動しており、子ども・大人向けに、学童や公民館、美術館やアトリエ、飲食店等でアートマインドコーチングのセッションを開催しています。


ゆんたくとは、沖縄の言葉で「おしゃべり」の意味。

絵画など視覚に頼るアート作品ではなく、立体的なアート作品を実際に手に取って触りながら、李さんの声掛けのもと「これはどのような作品だろう?」といったことをグループごとに話す対話型鑑賞を行いました。


そしてメインとなる作品は、沖縄県立芸術大学非常勤講師の平敷傑さんの作品をご提供いただきました。

平敷さんは、彫刻作品を手掛けており、主に幼少期に飼っていたヤギをモチーフに作品制作を行なっています。





このワークでは、アイマスクをする人もしない人もおり、自然体で各々作品鑑賞を行いました。視覚障がいを持っている参加者と、持っていない参加者それぞれ作品の受け取り方の違いを共有しながら、自由に鑑賞を行なっていたのが印象的でした。


 

3. 振り返り

最後に、今日1日を通して、どんな体験を共有できたかを振り返っていきました。

参加者の皆さんの声を紹介したいと思います。



①「『感覚を研ぎ澄ませ!アトラクション体験ツアー』では、どのような体験をしましたか? そこではどんなことを思いましたか?」

  • 視界が無くなるのはすごく怖かった。

  • 自分は目は見えるが聴覚がないろう者だが、視覚がなくなると「盲ろう者」になる。目も見えず、言葉も話せないことがこれだけ不安になるとは思わなかった。

  • 見えないのは怖かったが人の手や肩に触れているのは、それ以上に安心した。

  • 声掛けや、具体的な指示などがあると非常に安心した。これからは街で視覚障がい者の方を見かけたら、積極的にサポートしていきたいと思った。


②「『ゆんたく鑑賞』では、どのような体験をしましたか? そこではどんなことを思いましたか?」

  • タイトルや説明にとらわれずに、自由な発想、発言ができた!

  • みんな発言するので、自分もたくさん話したくなった。

  • さわると愛着が湧いてくる。「触る広告」なんてものがあると面白いと思った。


③「今日1日の中で、あなたにとってすごく気づきがあったこと、または「これは大事だな」と思ったこと。それはどんなことですか?」

  • 自分が気づいたことを言葉に出し合うこと。普段は声に出さずに自分で完結しちゃうが他の人と聞き合うことで気づくことができる。

  • アートを通して人間関係の支え合うことを体験した。隣にいる人に当たり前にできたらいい。

  • アイマスクをしていても声掛けがあるだけで安心した。その時のような安心感や信頼をどうやって日常的に作れるのか。


④「その気づきをうけて、もっと”みんな”が楽しめる劇場になはーとがなるために、何ができると思いますか?」

  • 「みんな」の中にどこまで入れるのか。何かしらの障がいを持つ方々が楽しめる場所というイメージが劇場になかった。いろんな人がいることを劇場が把握することが大事。

  • 次は聴覚障がいを持つ方や、外国人の方々も交えてワークを行いたい。

  • 触りながら鑑賞できるアート作品を常設してほしい。


その他、ろう者の方からは、「自分は視覚も使えなくなると、”盲聾(もうろう)者”となってしまう。そのような感覚を今日始めて実感した。そのような人とのコミュニケーションも模索する必要もある」との感想もいただきました。


 

第4回は、2025年2月7日!おでかけなはーとダイアローグ、初開催!


次回のなはーとダイアローグは、来年2月7日金曜日の実施が決定。

初の「おでかけダイアローグ」として、真和志高校さんにお邪魔します。


授業の一環としての開催ですが、一般の参加も若干数可能となっております。

詳細が決定しましたら、なはーと公式HP、なはーとダイアローグ公式インスタグラムよりお知らせいたします。どうぞお楽しみに!



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